https://www3.nhk.or.jp/news/special/mirai/tokushu/2017_1028.html?utm_int=news_contents_news-closeup_001
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、トイレメーカーの関係者が模索していることがあります。男性も女性も、そしてLGBTの人たちも気兼ねなく利用できるトイレの開発です。1964年の東京五輪でも大きく変貌した日本のトイレ、その歴史と最前線です。
トイレに行けない…
「LGBTの社員が入れるトイレがほしい」
「利用者が多いフロアにLGBTの人に配慮したトイレを作りたい」
性的マイノリティーを示す「LGBT」が注目される今、東京オリンピックに向けて都心部でホテルや商業施設などの再開発を進めているディベロッパーなどから、メーカーにこうした声が相次いで寄せられています。
これを受けて、北九州市にある住宅設備機器メーカー「TOTO」では、専門のプロジェクトチームを設置、新しいトイレの在り方を検討してきました。
はじめに行ったのは当事者たちからの聞き取り。そこからは「からだ」の性と「こころ」の性が違うトランスジェンダーの人たちが、家の外でトイレを利用するたびに感じる心の負担が見えてきました。
例えば、からだは「男性」なのに、こころは「女性」の人。外見が男性に見えると女性用は利用できません。我慢して男性用を利用するのも苦痛です。
「トイレを我慢してぼうこう炎になった」「水分を控えて脱水症状になる」という切実なケースもあると言います。
オリンピックの基本理念を示したオリンピック憲章に、2014年、「性的指向による差別の禁止」という文言があらたに盛り込まれました。だれもが気兼ねなく使えるトイレの普及は、世界の願いなのです。
和式から洋式へ その理由は
五輪で変わる日本のトイレ、同じ図式は1964年の東京大会でも起きました。和式から洋式への変化です。
洋式トイレが国内で初めて開発されたのは、今から100年以上も前の1914年、TOTOの前身「日本陶器」が最初でした。しかし当時は富裕層が利用する洋館などに設置されたのみで、一般の家庭に普及するまでには至りませんでした。
ところが、東京五輪が近づき、高速道路やビルの建設など多くの工事が行われ、東京の人口が急速に増えると、こうした人たちの住まいを確保する必要に迫られました。そこで建てられた公団住宅に洋式トイレが採用されたのです。
建設は急ピッチで進められましたが、和式トイレは周囲にタイルを張る必要があるなど工事に手間がかかります。一方、洋式トイレは完成した便器に排水用のパイプをつなぐだけ。この簡単さこそが、洋式トイレが採用された最大の理由です。
さらに洋式トイレの使い勝手のよさが日本人に広く知られるようになると、集合住宅だけでなく戸建ての住宅でも取り入れられるようになり、1977年にはTOTOが出荷する洋式便器の数は和式を上回ったのです。
(リンク先に続きあり)
10月28日 14時50分
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、トイレメーカーの関係者が模索していることがあります。男性も女性も、そしてLGBTの人たちも気兼ねなく利用できるトイレの開発です。1964年の東京五輪でも大きく変貌した日本のトイレ、その歴史と最前線です。
トイレに行けない…
「LGBTの社員が入れるトイレがほしい」
「利用者が多いフロアにLGBTの人に配慮したトイレを作りたい」
性的マイノリティーを示す「LGBT」が注目される今、東京オリンピックに向けて都心部でホテルや商業施設などの再開発を進めているディベロッパーなどから、メーカーにこうした声が相次いで寄せられています。
これを受けて、北九州市にある住宅設備機器メーカー「TOTO」では、専門のプロジェクトチームを設置、新しいトイレの在り方を検討してきました。
はじめに行ったのは当事者たちからの聞き取り。そこからは「からだ」の性と「こころ」の性が違うトランスジェンダーの人たちが、家の外でトイレを利用するたびに感じる心の負担が見えてきました。
例えば、からだは「男性」なのに、こころは「女性」の人。外見が男性に見えると女性用は利用できません。我慢して男性用を利用するのも苦痛です。
「トイレを我慢してぼうこう炎になった」「水分を控えて脱水症状になる」という切実なケースもあると言います。
オリンピックの基本理念を示したオリンピック憲章に、2014年、「性的指向による差別の禁止」という文言があらたに盛り込まれました。だれもが気兼ねなく使えるトイレの普及は、世界の願いなのです。
和式から洋式へ その理由は
五輪で変わる日本のトイレ、同じ図式は1964年の東京大会でも起きました。和式から洋式への変化です。
洋式トイレが国内で初めて開発されたのは、今から100年以上も前の1914年、TOTOの前身「日本陶器」が最初でした。しかし当時は富裕層が利用する洋館などに設置されたのみで、一般の家庭に普及するまでには至りませんでした。
ところが、東京五輪が近づき、高速道路やビルの建設など多くの工事が行われ、東京の人口が急速に増えると、こうした人たちの住まいを確保する必要に迫られました。そこで建てられた公団住宅に洋式トイレが採用されたのです。
建設は急ピッチで進められましたが、和式トイレは周囲にタイルを張る必要があるなど工事に手間がかかります。一方、洋式トイレは完成した便器に排水用のパイプをつなぐだけ。この簡単さこそが、洋式トイレが採用された最大の理由です。
さらに洋式トイレの使い勝手のよさが日本人に広く知られるようになると、集合住宅だけでなく戸建ての住宅でも取り入れられるようになり、1977年にはTOTOが出荷する洋式便器の数は和式を上回ったのです。
(リンク先に続きあり)
10月28日 14時50分