
これは『女帝 小池百合子』(文春文庫、石井妙子著)に描かれた、都知事の小池百合子氏がエジプト・カイロに留学していた時代の、あるエピソードである。https://bunshun.jp/articles/-/71701 小池氏と北原氏が同居している頃、しばしば日本からカイロを訪れたのが、父親の小池勇二郎氏である。彼はいつもナイル・ヒルトンホテルに宿泊し、すると小池氏も父に会いにホテルへ行っていたという。そしてある日、小池氏は巾着袋を持って北原氏の待つアパートに帰ってきた。その巾着袋からは、コーヒーカップ、皿、ナイフ、フォーク、シュガーポットが出てきた。冒頭のシーンはこう続く
〈すべてにヒルトンのロゴが入っていた。白い巾着はテーブルクロスだとわかった。父親とルームサービスを取り食器をテーブルクロスごと包んで、丸々、持ってきたのだと、小池は悪びれることなく北原さんに告げた〉(前掲書)
しかも、この一回だけではなかった。
〈その後も小池は、ヒルトンに泊まる父親に会いに行くたびに何かを必ず持ち帰ってきた。北原さんは、次第にお茶目でやっているとは思えなくなった。ヒルトンのハンガーは、やがてクローゼットに入りきらなくなった〉(前掲書)